新居への引越し手続きが済んだら、できるだけ早く近所へ挨拶まわりを行うのがご近所付き合いの基本です。配慮すべきポイントはいくつかありますが、挨拶に出向く際に持参する品物につけるのしは特に重要なポイントです。今回は引越しを予定している方に向けて、のしの必要性、のしのつけ方や書き方、マナーなどについてご紹介します。第一印象はその後の人間関係に影響しますし、近所の人とは何かと顔を合わせることが多いので、失礼のない挨拶をしたいものです。
引越しの挨拶でのしをつける意味
そもそも、のしとは?
のしには長い歴史があり、奈良時代の初期には縁起物である鮑を薄く延ばして乾燥させたものを熨斗鮑(のしあわび)として奉納していました。その後、贈り物にのしを添えて贈るスタイルが時代とともに変わっていき、現代では鮑に見立てた黄色の紙を紅白の紙で包んだものや、のしを印刷で済ませたもの、デザイン性の高いものが見られます。
多くの場合紙全体を指してのしと言いますが、本来はこの飾りのみを指します。
安い贈り物にものしは必要なの?
「安いものだから…」と、のしをつける必要性を感じない人がいるかもしれませんが、贈り物をするときの慣習として「のしをつけるのは当たり前」と考えている人も多くいます。のしをつけていない贈り物を渡すと非常識だと思われることがあるので、引越しを含む慶事の際の贈り物にはのしをつけることをおすすめします。
のしは名前を覚えてもらう効果も期待できる
のしには必ず自分の苗字を記すので、挨拶時に正しく聞き取ってもらえなかったり、忘れられたりしても名前を思い出してもらうことができます。名前を知ってもらう目的もあるので、珍しい苗字や複数の読み方ができる苗字の場合は、横にふりがなをふっておくとより親切でしょう。
引越し挨拶でのしのつけ方と書き方
のし選びのルール
まず、水引には「蝶結び」と「結び切き」に大別されます。蝶結びは簡単にほどけて何度でも結び直せることから、引越しや出産内祝など何回あっても喜ばしいお祝いごとに対して使用します。
一方、結び切りは結婚や弔辞、災害見舞いなど二度とあってはならない、一度きりにしたいという場合に用います。以上のことから、引越しの挨拶の贈り物には「蝶結び」の水引を使用しましょう。
水引にはそれぞれ意味があるため、間違った水引を選択してしまうと、相手を困惑させたり不快な気持ちにさせたりする可能性があります。自分でのしを用意する場合は特に気をつけましょう。
のしのつけ方
内のしは、商品にのしをつけてから包装する形式で、包装を取るまでのしが見えません。
贈り物を強調したいときや手渡しする場合は外のし、控えめな印象を与えたいときには内のしを選ぶのが一般的です。どちらを選んでもマナー違反ではありませんが、引越しの挨拶では直接挨拶にうかがうことと名前を覚えてもらう目的があることから外のしが適しています。
ただし、地域によって違いがあるので不安に感じる場合は、品物を購入する際に店員や地域の方に相談するのがよいでしょう。
のしの裏側の止め方に注意
贈り物を裏返したときに左の紙が上になるように重ねる巻き方を「弔事掛け」と呼び、不幸があった際の贈り物に使用します。一方で、右側の紙が上にくる巻き方が「慶事掛け」で、引越しの挨拶ではこちらを使用します。
のしの書き方
手書きの場合、黒墨の毛筆を使用するのが正式なマナーとされていますが、筆ペンやサインペンで代用しても問題ありません。ただし、ボールペンや弔事で使用する薄い墨は使用してはいけません。
文字は読みやすいように一文字ずつ丁寧に楷書体で書きます。達筆すぎる字や、殴り書きのような乱暴な字は失礼にあたるので避けるようにしましょう。
まとめ
近隣の人とうまく付き合い、今後気持ちよく生活していくためにも、最初の挨拶まわりをしっかりしましょう。